リモートワークでオフィスはどう変わる?導入のメリット・デメリット
近年では「働き方改革」に力を入れる企業が増えてきましたが、その中でも注目度の高い「リモートワーク」という働き方があります。
これは従来の労働に関する常識を覆すものであり、現代人の働き方に対する概念も変化を遂げているのです。
しかし、オフィスワークとリモートワーク、どちらの方が生産性があるのかなど、疑問に思うところもあるでしょう。どうやら、リモートワークは企業によっては合う・合わないがあるようなのです。
そこで今回は、そもそも「リモートワーク」とはどういったものなのか。そして、リモートワークを取り入れることのメリット・デメリットなどについて、詳しくご紹介していきます。
「リモートワーク」の意味とは?
「そもそも、リモートワークって何?」そんな疑問を持つ人も少なくないでしょう。
つまり、リモートワークというのは、オフィスから離れたところで仕事をするということです。「在宅勤務(在宅ワーク)」というのも、リモートワークに称されます。
そして、リモートワークはその形態や段階によって、4つのパターンに分けることができるといわれているのです。
1.ハイブリッド・リモートワーク
オフィス外勤務は週に1~2日程度だという企業も多く、リモートワークとしては今のところ最も多いスタイルだといえます。
2.フルタイム・リモートワーク
ハイブリッド・リモートワークとは違い、完全にオフィスに出社しないことが原則としてあります。フルタイム・リモートワークという呼び名もそのためについたのでしょう。
3.リモート・アウトソース
リモート・アウトソースとは、ハイブリッド・リモートワークやフルタイム・リモートワークとは違い、社外の人間が対象となります。
契約を交わしたプログラマーには、「自宅などで作業を行い、出来上がったソースコードをファイル共有サービスで提供してもらう」といった流れを取るのがこのスタイルです。
4.テンポラリー・リモートワーク
一時的な作業になりますので、基本的には企業の正規雇用者ではありません。
近年では「報酬付きのアンケート」というものを行っている企業が増えていますが、こういったアンケートに答えるのも、テンポラリー・リモートワークの一形態として考えられるでしょう。
リモートワークを導入することのメリットとは?
リモートワークがどういったものなのかが分かったところで、続いてリモートワークを導入するメリットについてご紹介します。
企業コスト・従業員コストの削減に繋がる
オフィスで働く従業員のが多ければ、その分の机や椅子、キャビネットなどの備品、光熱費などの固定費がかかります。
ところが、企業に必要な人員の殆どがリモートワーク社員であれば、そういった経費が削減できるのです。
そして、企業全体にかかるコストだけではなく、従業員一人一人にかかるコストも削減できます。
リモートワークの導入により交通費を支払う必要がなくなり、これは意外にも大きなコスト削減になるのです。
社員の生産性の向上が期待できる
リモートワークで働く社員にとって、オフィスに出向いて仕事をしなくていいということは、
- 面倒な人間関係を避けられる
- 夜の接待などの心配がない
- 不必要な会議に出なくて済む
- 妨害のない環境で仕事ができる
といったメリットを得ることができるため、集中して業務に取り組むことができ、一日の業務遂行量の向上が見込めるでしょう。
通勤時間が削減できる
職場までの距離が長ければ、その分早く家を出る必要があり、帰宅も遅くなってしまいます。そして、通勤時間も拘束時間と変わらないと考える人もいるようです。
リモートワークの導入により通勤時間の削減ができ、上記のようなことも低減できるというメリットがあります。
世界中から優秀な人材を確保できる
新しく人材を確保したいという時に、オフィス勤務を要すると、地理的に募集する人材の範囲が狭まってしまいます。
しかし、リモートワークを認めた形であれば、世界に対しての募集を掛けることができ、優秀な人材を確保しやすくなる可能性があるのです。
リモートワークを導入することのデメリットとは?
リモートワークを導入することで様々なメリットが得られることがわかりましたが、デメリットがあることも忘れてはいけません。
しかし、デメリットはあるものの、それは今後実践の仕方次第では十分改善の見込みがあるものが殆どです。
ではどんなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
他の人との距離感を感じてしまう
働く側のデメリットとして、上司や同僚と距離感を感じてしまうというデメリットがあります。
リモートワークでは面倒な人間関から距離を置けるというメリットはありますが、逆に直接会って話したりすることがない分、人柄などがお互いに伝わりにくいといえます。
そのため、文章で思ったことを明確に伝える能力や、声だけを聴いて相手の気持ちを汲み取る能力が求められるのです。
独自での決断が必要とされる
身近に上司などがいるわけではないので、独自の力で仕事を進め、高い決断能力が求められます。
自由度が高い代わりに、個人が担う責任が重くなったのも事実です。これは捉え方次第ではありますが、デメリットに感じる人も少なくないようです。
データ管理に危険性がある
リモートワークの為に企業の重要情報を持ち出した場合に、そのデータが流出してしまう恐れなども懸念されます。
こういったセキュリティーの対策問題があることは常に頭に置き、必要な権限者にしか開示できない承認システムを導入するなどの工夫も必要でしょう。
仕事をするための費用がかかる
働く側のデメリットとして、費用がかかるということが挙げられます。
仮に、自宅ではなく、コーヒーショップなどで仕事を行うのだとしても、都度コーヒー代がかかるため、馬鹿にならない費用になるでしょう。
評価の仕組みの問題が生じる
オフィス勤務であれば、上司が部下の仕事ぶりを見て、気付きがあれば指摘をしたり、あらゆる面から評価をするものです。結果が悪かったとしても、それまでの頑張りを見ていることで、その努力が評価されたりするものなのです。
しかし、リモートワークの場合には、仕事ぶりを見ることがないため、どうしても成果主義になってしまいます。
【まとめ】オフィスワークとリモートワークではどちらが良いのか?
リモートワークについて詳しくご紹介してきましたが、結局のところ、オフィスワークとリモートワーク、どちらの方が生産性が高いといえるのでしょうか?
リモートワークのメリットから見ても、導入することで生産性の向上が望めることは間違いなさそうですが、リモートワークを効果的に実施していくには、個人個人が「1つの文化に属している」という意識をもつことが必要になります。
お互いに離れて仕事をしていると、自分の仕事に集中することができるので、短期間での生産性の向上は確実になりますが、時が経つにつれて、どうしてもお互いの繋がりが薄れていってしまいます。
すると、次第に生産性は落ちていき、「短期間の生産性の向上」で終わってしまうのです。
上記のようなコミュニケーションに関する問題点にぶつかり、リモートワークを導入したものの、事業が伸びずに従業員の満足度が下がったことで廃止せざるを得なくなってしまった事例もあります。
また、リモートワークを導入するには環境も重要です。
ある企業は、これまで資料共有・進捗管理・勤怠管理など、全てを紙媒体で行っていたために、リモートワークを導入した際に必要な情報を共有できなくなってしまうという事態に陥ってしまいました。
結果、オフィスメンバーとリモートワークメンバーの情報伝達に格差が生まれ、社員の不満が大きくなり、廃止に至ったのです。
このように、リモートワークを上手く導入するためには、事前に環境を整えることや、その後の対策もしっかりと立てていく必要があります。
乗り越えなければならない壁は決して低くはありませんが、上手く取り入れれば、確実に生産性の向上を狙えるでしょう。
ただし、設備を整えるのが難しいオフィス環境なのであれば、リモートワークを取り入れるのはまだ早いかもしれません。
しかし、近年ではリモートワークの導入を狙う企業が増えており、今後リモートワークというスタイルで働く人が大幅に増えていくことは間違いなさそうです。
この記事でご紹介したメリット・デメリットを理解し、リモートワークの導入を成功させましょう!