オフィス移転の内装工事は減価償却できる?節税のポイント
オフィスの移転をするときには、賃料以外にも内装工事など多大な費用がかかります。これらは会計処理上どうすればいいのか、きちんと抑えておくことで節税にもつながります。
減価償却とは、高価なもの(原則として10万円以上)を買い入れた時などに使ったお金をその年に全部計上するのではなくて、分割して計上することです。
では内装工事費は減価償却費として計上できるのか、どのように計上するのかなどポイントを押さえておくと節税にもつながります。
オフィス移転時の内装工事も減価償却の対象になる
内装工事にかかった費用も減価償却の対象になります。ですから、工事を行った年に全て経費として計上する必要はありません。
減価償却には定率法と定額法という2つの方法がありますが、平成10年4月1日以降に取得したものは定額法に限られています。
オフィスの内装は建築付属設備になりますが、これも平成28年以降は定額法となりました。
内装工事にかかった経費は最初の年に支払っているわけですから、その後に実際のお金の動きはありません。
帳簿上の話ですが、経費として計上することで利益が減り、税金対策にもなるということです。
耐用年数を確認する
減価償却する期間をどのように決めるのかというと、耐用年数によって分割をしていきます。
とはいえ、耐用年数を勝手に決められるとなると容易に節税ができてしまうため、法律によって決められています。
ただし、
- 電気設備
- ガス設備
- 衛生設備
- 冷暖房設備
など建築付属設備と呼ばれるものは内装工事には含まれないことになっています。
これについては次章で詳しく説明します。
オフィス移転時の内装工事費を減価償却する方法
では、内装工事はどのようにして仕分けして、減価償却していけば良いのでしょうか。
内装工事の仕訳をする
内装工事の内容を確認して、
- 建物
- 建物付属設備
- 構築物
に分けます。
床や壁などのオフィスの内装工事は原則として建物に入ります。
内装の種類によって耐用年数を決める
最初に、原則として建物の耐用年数を元に償却期間を決めるとお話ししました。
しかし、例えば鉄筋コンクリートの丈夫な建物などは30〜50年くらいの耐用年数があります。
壁紙の張り替えとかエアコン設備を新しくしただけなのに、30年というのは現実的な数字ではありません。
そこで、一般的にオフィスの内装工事は、10〜15年で減価償却します。
しかしもし工事をしたのが壁紙の張り替えだけだったらどうでしょうか。
ここは「壁紙だけなら○年」と決まっているわけではなく、工事の規模、金額などに応じて合理的に判断されます。
貸借期間を耐用年数とする
賃借期間の定めがあり、それ以上契約を更新できない場合には、賃借期間をそのまま耐用年数とすることができます。
工事の内容によって分類して耐用年数を決める
内装工事費は備品など細かいものも含めて一括して計算してしまうことも多いのですが、面倒でも細かく分けて計上するとその分科目ごとに経費を計上することができます。
内装工事の請求書を見ながら、どの工事が何に当たるのか、細かく分けてみましょう。
例えば、
- カーペットなど床の敷物:3〜6年
- 応接セット:5〜8年
- 冷蔵庫など電気機器:6年
など、備品によって細かく耐用年数が決められています。
そのものに応じた耐用年数を設置することで償却期間変わってくるのです。
赤字計上しないように気をつけること
内装工事費を減価償却するとなると、その分を利益から引くわけです。会計処理をするときにはうっかりと赤字決算にならないように気をつけてください。
特に銀行の融資を受ける必要がある場合に赤字による影響は大きいです。
節税対策だけでなく、もっと大きな目で会計を考える必要があります。
内装工事費を減価償却するときは仕訳が大事
オフィスの内装工事は、一般的には10〜15年の償却期間で計上していけば良いですが、細かく仕分けをすればもっと短い期間で多くの経費を計上できます。
面倒でも細かく仕訳をした方が会計上は有利になりますので、請求書を見ながら工事の内容ごとに耐用年数を分けていきましょう。