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オフィスの移転に伴う敷金の返還時期や金額を知っておこう

オフィスの移転に伴って旧オフィスを明け渡した場合に戻ってくるのが「敷金」ですが、いつ頃返還されるかご存知ですか?

オフィスの賃貸は、個人が部屋を借りるのと違って多額の敷金が必要になりますよね。

新しく借りるオフィスの敷金にと返還される敷金をあてにしていると、ちょっと困ったことになってしまうかもしれません。

それは、通常の敷金の返還期間よりも長く設定されていることが多いからです。

ではどのくらいの期間で返ってくるのか、また、どのくらいの金額を受け取ることができるのか、オフィスの敷金についてまとめました。

預けた敷金はすぐにはかえってこない!二重敷金が必要となる

オフィス移転の際に、新オフィスの契約時に敷金や補償金を支払わなければなりません。

その資金として、旧オフィスから返還される敷金をあてにしていることもあるでしょう。

しかしそれはあてにできないのです。

「契約終了後」に返ってくる

旧オフィスの敷金が返還されるのは、契約が終了した後です。

契約が終了した後とは、退去した時ではないというのが重要なポイントになります。

普通、退去したあとに原状回復工事が入ります。全てが済んで、元の状態に戻るまで契約は続いています。

そうしないと、明け渡しの時には気づかなかったけれど、原状回復工事をしていたらこんなところも破損していた!なんてことが後から分かったりするからです。

そして、契約終了後、3ヶ月〜半年くらいしてから返還されるのが普通です。

原状回復費用が引かれる

そして、敷金は満額返されることはありません。その理由の一つが原状回復にかかる工事の費用が引かれるからです。

一般の住宅ですと、経年劣化は仕方のないものとされていますし、通常の使用によってできた破損などは修復しなくても良いと賃借人の立場が保護されています。

しかしオフィスや商店など商用利用していた場合にはその法律が適用されませんので、基本的には借りた時の状態に戻して返さないといけません。

費用はどのくらい最初に手を加えているかによっても違ってきますが、坪単価は3〜6万円くらいが相場とされています。

あまり凝った内装にしてしまうと、退去する時にかなりの工事費がかかることになりそうです。敷金はその工事にかかった費用を差し引いた分が戻ってきます。

償却分が引かれる場合も

もう一つ、敷金が満額返ってこない理由に「償却分(しょうきゃくぶん)」というものがあります。

これは、内装をいじったかいじっていないかなどに関わらず、契約時の取り決めによって引かれるお金、と思ってください。償却とついていますが、減価償却とはなんら関係がありません。

相場は

  • 賃料の1〜2ヶ月分
  • 補償金の10〜20%

というところが多いようです。

例えば賃料の12ヶ月分を敷金として預けることになっていたとして、その3ヶ月分を償却分とする、という契約になっていたとしましょう。

その場合は、たとえ原状回復工事がなかったとしても、3ヶ月分を差し引いた9ヶ月分しか戻ってこないということになります。

つまり、何もしなくても無条件に引かれてしまう分があるということです。

最近では償却分は必要ないとするテナントも増えてきているようですが、まだまだ大型ビルに限られていて、中小のビルではこれまで通り償却分を差し引くところが多いようです。

つまり、旧オフィスの敷金はあてにできない

ここまでをまとめますと、契約終了後に原状回復工事費用と償却分を差し引いた残りが戻ってくる、ということになります。

返還時期は契約終了後、3〜6ヶ月後です。

新オフィスを契約する際、敷金や補償金は契約を結ぶ時に払いますし、当然ですが入居する前に契約するわけですから、その時手元に旧オフィスの敷金は戻ってきていないということになります。

ですから新オフィスに入る時に旧オフィスの敷金はあてにできないこと、また、旧オフィスの敷金が返還されるまでは、二重に敷金を払う必要があるということを覚えておいてください。

法律では明文化されていない。敷金の返還時期は契約書次第

では、この敷金の返還時期について法律はどうなっているのかといいますと、時期についての明確な規定はありません。

退去してから何日以内に返金しなくてはいけないというような規定はありませんので、全ては契約書の内容次第ということになります。

一応平成29年に民法が改正され、「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」という条文が追加されたのですが、これは任意規定なのです。

あくまでも基準を示しただけのものであり、契約書における特約が有効になりますから、返還時期は「契約書ありき」なのです。

契約書に明記してあるかを確認

一般的には、「退去後3ヶ月以内に返還する」など分かりやすく書いてあることが多いので、そこはきちんと確認します。

そこを確認しておかないと、いつ返ってくるかわかりません。

万が一、退去した後にオーナーが変わったりした場合に困ることに。

契約はあくまでも旧オーナーとしているものですから、敷金の返還は旧オーナーにすることになります。

その時に契約書に明確に書いていないとなかなか返ってこない、というトラブルに発展する可能性もあるからです。

契約書に書いてない場合ははっきり確認

では契約書を見た時に返還時期が書いてなかったらどうすれば良いのでしょうか。

返還時期が書いていないからといって戻ってこないということにはなりませんので安心してください。退去から1〜2ヶ月くらいで返還するというのが一般的です。

しかしいつ返ってくるかわからないというのは事業を行う上で不安材料になりますから、契約書に盛り込んでもらうようにした方が良いでしょう。

なかなかかえってこない場合は必ずリアクションを!

契約書に返還時期が書いていあるにも関わらずなかなか返還されないという場合はどうすれば良いのでしょうか。

その場合は、

  • 内容証明郵便で返還請求をする
  • それでも応じなければ訴訟(少額訴訟)を起こす

など、何らかのリアクションが必要になってきます。

何もしないとそのままスルーされる可能性もあるので、返還時期はきっちりと守ってもらうようにし、もし期限を過ぎても音沙汰がないなら速やかに行動を起こしましょう。

そもそもなぜ敷金を預ける必要があるのか

敷金は「預ける」ものです。ではなぜ、賃料の何ヶ月分ものお金を最初に預けなければ借りられないのでしょうか。

それは、借主に何かあって、賃料を払えなかった時のための担保のようなものだからです。

家賃を滞納されたり、万が一夜逃げなんてされても、敷金を預かっていればオーナーが損をすることはありません。

また、一般住宅と違って原状回復にもお金がかかります。

それをオーナーの負担だけではやっていけないので、敷金から差し引くこととしているのです。

少しでも敷金の返金額を増やすには?

丸々返ってはこない敷金ですが、少しでも返還額を増やす努力はできます。

それは、原状回復費用をできるだけ少なくすることです。

オフィスのデザインに凝るのはいいのですが、インテリアなどにこだわることにして、レイアウトにはあまり手を加えないとか、大きな工事をしないことで原状回復しやすくなります。

また、原状回復工事をする時の見積もりも大事なポイントです。

業者に言われるままに工事をするのではなく、その見積もりが適正なのかどうか、きちんと交渉をすることで少しでも工事費を抑えることができるでしょう。

結論:敷金は満額返ってこないしオフィス移転前に返ってくる事もない

預けた敷金が満額戻ってくることはありませんし、新オフィスに移る前に戻ってくることもないので、新しいオフィスの敷金に当てよう、なんてことは思わないことです。

いくら返ってくるかもわからないので、最低3ヶ月くらい、長ければ半年くらいは二重に敷金を預けることを考慮して、資金の準備をしてください。

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