企業がオフィス移転させるのはなぜ?その目的と期待できる効果
企業がオフィス移転をするのはなぜなのでしょうか?移転の裏側にはどんな目的があるのかはとても気になるところです。
オフィスの移転をすることは、時間・労力・お金をかけて行う大がかりな業務ですから、会社にとっての一大プロジェクトといっても過言ではありません。
しかし、近年では移転する企業が増加傾向にあり、その理由として「働き方改革」を推進するために移転する企業が年々増加増しているのです。
企業によって移転目的は様々ですが、働き方改革を進めることが前提としてあるようです。
この記事では、オフィスを移転する様々な目的についてご紹介すると共に、働き方改革を推進する視点から移転する理由についてもご紹介します。
企業がオフィス移転をする様々な目的とは?
企業がオフィス移転をする目的というのは様々です。そして、移転する目的をしっかりと明確にしておかなければ、新しいオフィスの計画を立てられませんし、後々後悔することになってしまうかもしれません。
移転する目的をしっかりと明確にしておくことで、移転計画もスムーズに進み、失敗を防ぐことがのです。
では企業の移転理由として、どのような目的が考えられるのかについて見ていきましょう。
人材採用を強化するために移転
社員不足で頭を悩ませている企業は多いものの、雇えるなら誰でもいいというわけでなく、優秀な人材を確保したいという思いはどんな企業でも強いものです。
優秀な人材を確保するためには、まずは多くの人に自社を知ってもらい、就職先や転職先に自社を選んでもらわなければなりません。
そのためには、企業に対して良いイメージを持ってもらう必要があります。就職先や転職先を選ぶ側としては、「オフィス環境」というのはとても重要な選択理由になるからです。
- 眺望が素晴らしい
- 開放的な広いフロア
- 新築の綺麗なオフィス
- 社内にスポーツジムやカフェなどが設置されている
など…。毎日足を運び長い時間を過ごす場所ですから、自分にとって「居心地の良い環境」を求めるのは当然のことなのです。
女性社員であれば、トイレの機能は最新式のものを導入し、清潔感のある空間にすることも効果的です。女性にとっては「トイレ環境」というのも重要な選考理由の一つなのです。
業績が悪化したため移転
オフィスの移転理由の一つとして、企業の業績悪化がということも挙げられます。賃料の安いオフィスに移転して経費削減を図るのです。
景気が良い時期であれば、企業は広くて賃料の高いオフィスに移転し社員数を増加させますが、不景気の時期に入ると狭くて賃料の安いオフィスに移転し、社員を減らします。
景気は数年の間に変化をするものなので、企業がこのような移転を繰り返すことは珍しくありません。
他の経費を削減するといったこともできますが、効率的にコストカットをするのであれば、固定費をできるだけ安く抑えることが必要になります。
固定費で一番高い支出となっているのは家賃です。家賃を安くすることで、大きなコストカットが実現させることができるため、オフィスの移転を選択するというわけです。
企業のブランド化を狙い移転
ブランド化を狙う企業が移転するケースは極めて多く、その移転先は決まって自社と同じ業種の企業が集まっているような所です。
一流の企業が集まる場所に企業を構えることができば、知名度や社会的信用も高まり、取引件数の増加も期待できるでしょう。
オフィス移転によるブランド化には大きなメリットがあるため、このような目的での移転を目的としている若い企業も少なくありません。
「オフィスの移転」と「働き方改革」
近年では、オフィス移転をする目的と共に、働き方改革に力を入れる企業が年々増加しています。
企業は働き方改革を進めることを前提として、働く場所の改革に踏み込んでいるのです。これは一体どうゆうことなのでしょうか?
そもそも「働き方改革」ってなに?
働き方改革とは、多様な働き方を可能にする社会を目指すための政策です。
雇用と労働を所管する厚生労働省では、働き方改革の実現に向けて、下記の具体的な取り組みを掲げています。
- 非正規雇用の待遇差改革
- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方ができる環境づくり
- ダイバーシティの推進
- 賃金引上げと労働生産性向上
- ハラスメント防止対策
そして、これらの取り組みを実施する企業が増えることで、以下のようなことが期待されています。
- 1.非正規雇用の待遇差改革
- これまでは雇用形態の違いで、非正規雇用労働者には能力アップの教育は行わないなど、扱いを差別する企業が多くありました。
働き方改革が進めば、非正規雇用労働者に対し、これまでは行ってこなかった能力アップに繋がる教育などを行うことになり、非正規雇用労働者でもスキルアップや地位向上が狙えます。
非正規雇用労働者が戦力アップできれば、事業の拡大や収益アップも期待できるでしょう。
- 2.長時間労働の是正
- 長時間労働を是正することができれば、労働者の健康リスクを減らすことができ、プライベートの充実を図ることで豊かな人生を送ることができるようになるでしょう。
心と体の健康は仕事にも良い影響を与え、企業にも多大なメリットをもたらすことが期待できます。
- 3.柔軟な働き方ができる環境づくり
- 勤務場所と勤務時間に限定した働き方。これは当然の働き方として定着してきましたが、この働き方では、労働意欲がありながらも、労働できないという人を増やしてしまっているのです。
子育て中の人や、介護をしている人などが退職を余儀なくされるケースは少なくありません。解決策として近年では、「テレワーク」という働き方が評価されています。
テレワークとは、事業者と契約を結んだ人が、自宅などで働く形態のことです。
テレワークは、時間や場所にとらわれずに働くことができ、企業側としても、生産性の向上や自己管理能力の向上、労働者の健康的な生活の確保などが狙えるのです。
- 4.ダイバーシティの推進
- ダイバーシティとは多様性のことを言います。働き方時改革では、女性が活躍できる社会の実現や、子育て支援の充実化をはかり、「男は外で働き、女は家を守る」という固定観念を打ち破ろうとしているのです。
時代は変わり、女性も社会人として躍進する時代になりました。働きたくても働けない人や、能力はあるのに発揮できる機会がないという人を後押しするのがこの制度です。
企業にとっても優秀な人材の確保やイノベーションの創出などのメリットがあり、働く側も仕事のやりがいや収入の保証が得られるため、お互いにとってプラスになる対策だといえるでしょう。
- 5.賃金引上げと労働生産性向上
- 賃金の引き上げは説明しなくてもわかる通り、労働者にとってはメリットになります。企業側としては一見デメリットになるようにも見えますが、労働者の収入が増えれば、購買力も上がり、ビジネスチャンスも増えるでしょう。
賃金引き上げと労働生産性向上は、日本経済の強化に繋がるのです。
- 6.ハラスメント防止対策
- 厚生労働省は、マタハラ、セクハラ、パワハラなどのハラスメント対策を企業に防止処置をとるよう義務付ける方針を固め、「職場におけるハラスメント対策マニュアル」を考案しています。
年々増加してきたこれらの問題に対し内容をしっかりと理解し、行為者・目撃者・被害者への対応方法をきちんと把握した上で行動し、問題解決できるよう努めていかなければいけないと考えたのです。
そして、問題が発生した場合には、再発防止策に関しても取組事例を考案しています。これらは社員一人一人を守るための対策であり、精神的・肉体的に働きやすい環境を作っていくことで、より良い社会を実現できるのです。
働き方改革によるオフィス移転の加速
オフィスの移転をする目的とは別に、働き方改革を進めることを前提としていることが近年では当たり前になり、各企業は「働く場所の改革」に乗り出しているのです。
オフィス環境の見直しによる、オフィスの緑化やリフレッシュスペースの確保は各企業が注目し、取り入れている企業が増加しているのです。
1日のうちの長い時間をオフィスで過ごすことになるのですから、社員に良い環境を提供したいという企業の思いが形になって表れているといえるでしょう。
働き方改革は決して簡単な道程ではありません。社員一人一人が働きやすい環境を作るのには、これからも試行錯誤しながら時間を費やさなければいけません。
働き方改革を前提としての移転は、企業にとっても社員にとってもメリットのあることが多いことは確かですが、それと同時に様々な課題も生まれるでしょう。
しかし、その課題をクリアしていくことが今の社会には必要なのです。
働き方改革の一つとしてオフィス環境を見直そう
今回は、企業がオフィスを移転させる目的と働き方改革などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
様々なオフィス移転の目的がありましたが、近年ではこの「働き方改革」を推進することを前提としたオフィスの移転をする企業が非常に多いのです。
オフィスの移転はより良い環境のオフィスを作ることが目的であり、従来の移転理由にあった、賃料の安いオフィスに移転して経費削減を図るようなものではありません。
モバイルワークの導入をした企業では、フリーアドレスのデスクや共有のオープンスペースなどを用意し、モバイルワーカーを受け入れます。
オフィスの在籍率を考慮し、社員数に対して100%の席を用意する必要はないため、コストを削減し、オフィスを有効的に活用しているのです。
働き方改革に目を向けるのであれば、まずはオフィスの見直しから始めてみてはいかがでしょうか?