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施工・工事に関する知識

居抜きとスケルトンの違いは?メリットとデメリットを比較しよう

飲食業などの店舗を開業する際によく見かける、居抜き物件とスケルトン物件。この違いがよくわからないという方もいると思います。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、違いをよく理解した上で選ぶようにしたいものです。

かかる費用も違ってきますし、当然使い勝手も違います。これからビジネスを始めるにあたりどちらがいいのか、メリットとデメリットを比較してよく検討してください。

居抜き物件とスケルトン物件の大きな違い

居抜き物件とスケルトン物件は何が違うのか、まずは基本的なことから!大きな違いがあるので、きちんと理解しておきたいものです。

居抜き物件は前のものがそのまま残っている

居抜き物件とは、前に入っていたテナントやお店の設備がそのまま残っている物件のことです。

  • 内装
  • キッチン、水周り設備
  • 什器(じゅうき)類

などが残されているので、工事の費用を大幅に抑えることができます。

什器類とは

  • 冷蔵庫
  • テーブル
  • ショーケース

などです。

ただし、設備が残っているからといってそれがそのまま使えるかどうかは別です。

大きな工事は必要なくとも修理が必要だったり、自分の使い勝手がいいように変更する場合などは当然費用がかかってきます。

中には、物が残っているだけで、使えないほど古くなっているものなどもあるので、契約を結ぶ前に細かいところまでよく確認をしておくことが大切です。

スケルトン物件は何もない状態

スケルトン物件とは中身が何もない状態、建物の躯体のみの物件です。

スケルトンという言葉は元々動物や人間の骨格を意味する言葉なので、建物の骨組みしかないという意味ですね。

基本的にはコンクリートの壁や柱しかない状態なので、内装工事を最初からやる必要があります。

ただしスケルトン物件には2種類あって、本当に何もない状態のものと、床下の配管やダクトなどの設備が残っているものとがあります。

その場合は

  • 一部居抜き
  • 半スケルトン

などの表現で出ていることもあります。

費用が大幅に抑えられる!居抜き物件のメリット

居抜き物件の大きなメリットは、やはり設備が整っているということでしょう。

最初から全て自分で揃えるとなるとそれなりの費用がないと難しいですが、使えるものが残っていればその分コストを削減できます。

低コストで開業できる

内装や残っている設備をそのまま使うのであれば、初期の工事費をかなり抑えられます。

場合によっては、看板を変えるだけで開業することもできるかもしれません。初期費用をできるだけ節約したいという方には嬉しい物件です。

初めて店舗を構えるならやはり居抜き物件でしょう。

物件数が多くて比較検討しやすい

居抜き物件は前のテナントも原状回復費用を抑えられるし、次に入る人にもメリットがあるので、物件数が多いんです。それだけ人気があるということですよね。

数が多ければ比較もしやすく、選択肢には困らないでしょう。できるだけ多くの物件を見て選びたいなら居抜きの方が有利です。

開業までの時間も短い

中身が揃っているということは、引渡しを受けてすぐに開業することも可能だということです。

何もないところから内装工事を始めると、その工事が終わるまで開業できませんが、その間も賃貸料は発生しているわけですね。

いわゆるカラ家賃を払うことになるのですが、居抜き物件ならその期間を短くすることが可能です。

利益が入ってこない期間をできるだけ短縮することで賃料の無駄を省きます。

レイアウトを考える手間が少ない

内装工事を一からやるとなると、レイアウトやデザインも全て考えないといけません。

何度も業者と打ち合わせをして、細かいところまで考えていかないといけないので結構面倒で大変です。

その点居抜き物件ならもうお店はできているわけですから、考える手間も省けます。

よほど内装にこだわりがあるなら別ですが、そうでないなら一から作るよりは断然楽になります。

既存客を取り込める可能性

前のテナントの作りをそのまま引き継ぐことになるので、元々そのお店のお客さんだった人たちも新規客として取り込める可能性があります。

飲食店同士など業種が同じならなおさらいいですね。

全く初めてで新しいお店を作ると、そのお店が何屋さんのか、どんなお店なのかを認知してもらうまでにかなり時間がかかります。

お店があることすら、最初は気づかれないかもしれません。

看板を変えただけならそこにお店があることはすでに認知されているので、あとは変わったことだけ宣伝できればいいわけですね。

これはビジネスを始めるにあたって大きなメリットです。

安いからこそ居抜き物件のデメリットもある

なんだかいいことづくめのような居抜き物件ですが、デメリットもあることを覚えておいてください。

好きなようにデザインできない

すでにレイアウトが決まっていますから、ここはこうしたいんだけどと思っても、後からでは難しい場合があります。

今あるものを造り変えようとすると、逆に費用がかさんでしまうこともあるので、変更は慎重にしたほうがいいです。

デザインの自由度はぐっと下がると思っておいたほうがいいでしょう。

前のテナントのイメージを払拭できない

前に入っていたテナントがどういうお店だったのか、どのくらいの期間営業していたのかにもよるのですが、そのイメージが強すぎるのもデメリットになります。

すごく売れていたお店ならば、「なんでなくなってしまったんだろう、どうして変わったんだろう」と思われてしまうことも無きにしも非ず。

しかしいいお店だったならばまだいいのですが、評判の悪かったお店だとそのイメージを引き継いでしまう心配もあります。

短期間で何度もお店が変わっているような場合などは、もしかしたら立地が悪いのかもしれないですし、なんらかの問題を抱えている場所なのかもしれません。

前のテナントがなぜ撤退したのか、その理由については詳しく確認する必要があるでしょう。

結局追加で改修しないといけないこともある

前のテナントの設備がきれいでいいものだったらいいのですが、壁紙が古くなっていたり、動線がとても使い勝手が悪いものだと、結局追加の工事が必要になることもあります。

場合によっては、想定外の費用がかかることもあり、必ずしもものが残っていればいいというわけではなさそうです。

追加の改修をせずに使えるか、動線は不便でないかなど、よく確認してください。

設備の修繕が難しいことがある

残されている設備、什器類があまりに古い場合、保証書や説明書が残っていないことがあります。

そうすると、機材の寿命もわからないし、故障した時に思ったよりも修繕費がかかるという事態も発生します。

定価よりも高い修繕費がかかってしまってはもったいないので、残っているものがどの程度使えるものなのか、細かく調べておいたほうがいいです。
  • 機材の製造年月日
  • 最近の修理状況
  • 説明書、保証書のありか

これらがわからないと、故障した時に困ります。

設備の買取費用が高くなる場合も

通常、居抜き物件に残されているものについては、「造作譲渡契約」というものを結んで、次のテナントが買い取るという形が多いです。

もちろん、新しいものを普通に買うよりは安いですが、前のテナントが立地条件などを上乗せした価格を設定してくるので、思ったよりも費用がかかってしまうこともあるのです。

設備の良し悪しに関わらず、「この店は立地がいいから」という理由で高額な買取額を提示されることがあります。

そうなると、古くて使えないものやいらないものを買い取って、さらに新しいものに買い換えなければいけないという無駄な費用を使うことにもなりかねません。

その立地では相場はどのくらいなのかなどをしっかり確認して交渉する必要があります。

居抜き物件を見るときに注意したいポイント

居抜き物件のメリット、デメリットを把握した上で、物件を見に行く時に注意したいことをまとめました。

  • 電気やガスなどの設備は正常に機能しているか
  • 設備の説明書、保証書は残っているか
  • 壁紙や床の汚れ具合はどうか
  • 配管内は洗浄されているか
  • 什器類はすぐに使える状態か
  • 前のテナントの評判、撤退理由

最低でもこのくらいのことは確認しておいたほうが良いでしょう。

自由にデザインできる!スケルトン物件のメリット

スケルトン物件は骨組みだけで何もない状態ですから、好きなように一からお店を作っていくことができます。大変ではありますが、その分自由度は高いです。

デザインの自由度が高い

スケルトン物件は内装も設備も何もないので、一から作り込んでいきます。

全て自分好みに作ることができるので、デザインやレイアウトに強いこだわりがある人にはスケルトン物件の方がおすすめです。

キッチンも壁紙もテーブルや椅子も、全て自分の理想を詰め込んだお店を作ることができるので、きっと深い愛着が湧くお店づくりができるでしょう。

新しいインパクトを与えることができる

何もない状態からスタートしますので、前のテナントのイメージを払拭し、新風を吹き込むことができるでしょう。

今度はこんなきれいなお店になったんだとお客様が認知してくれたら嬉しいものです。

設備の管理がしやすい

設備も当然一から揃えますので、製造年月日や保証期間など故障した時に必要な情報が管理しやすいというのは大きなメリットです。

万が一故障した場合でも、保証期間内に修理を依頼するということもできるでしょう。

作り方によっては居抜き物件よりお得なことも

おしゃれなカフェやバーなどは、極力内装に手を加えずに、今あるものを生かしたデザインのお店というのもありますね。

ですから、作り方によっては最低限の費用ですみ、逆に居抜き物件よりも安く済むこともあり得ます。

これはデザイン次第、作り方次第なので、お店のコンセプトによってはとても低コストで開業できるかもしれません。

やはり費用がかさむ、スケルトン物件のデメリット

何もないところからお店を作り上げるのはやはりお金がかかります。設備以外に、賃料もかさみます。

工事費がかさむ

当然ですが、工事費はそれなりにかかります。電気やガスなどの設備から整えていかないといけない場合はなおさらです。

開業までに時間がかかる

店舗の工事は大体1〜2ヶ月、しかしその前の打ち合わせなどもあるので、最低でも3ヶ月はかかります。

準備に時間がかかってしまうと、半年くらいかかることも。

最短で、入居してすぐに開業できる居抜き物件と比べると、開業までの時間はかなり長いといえるでしょう。

認知に時間がかかる

前のテナントのイメージを引き継がないのは、メリットでもあり、デメリットでもあります。

いきなりできたお店がどんなお店なのか、認知されるまで時間がかかるからです。

近くに同業者がいて、例えば「あ、ここにもパン屋さんができたんだね。行ってみようか」と比較してもらえればまだいいのですが、全くの新しいお店だと通りすがりの人が入りやすい工夫などが必要になってきます。

開業資金が潤沢でないと難しい

工事をしている間はまだ開業できていないので利益が発生しません。しかしその間も、賃料は発生しているわけです。

利益が出ないのにコストはかかるので、それだけの資金がないとスケルトンでの開業は難しいかもしれません。

退去時にもお金がかかる

スケルトンで借りたら、退去するときもスケルトンにして戻すのが基本です。

原状回復工事にかかる費用が必要になるので、入るときも出るときもお金がかかるということですね。

万が一閉店しなくてはいけなくなった時のことも考えておくことが大切です。

スケルトン物件を見るときに注意したいポイント

スケルトン物件は内装は何もないので、店の内部でチェックすることないですが契約や工事の進み具合はしっかり見ていく必要があります。

  • 退去時の原状回復義務について
  • 工事が予定通り、計画通りに進んでいるか現場を自分の目で見る

また、工事に際しては騒音等が出ますので、始まる前にご近所に挨拶回りをしておいた方がいいでしょう。

うっかり忘れると、開店した時に「工事の前に挨拶も来なかった」などとマイナスのイメージを持たれかねません。

それぞれのメリットデメリットを比較して物件を検討する

それぞれにメリットとデメリットがあるので、どちらがいいとは一概には言えません。

どんなお店を作りたいのか、こだわりがあると思いますし、予算にも限りがあるでしょう。

時間もお金も限られた中でやりくりするには居抜き物件の方が有利なのか、お店のデザインやコンセプトを優先するならスケルトンで一から作るのか。

自分が一番優先したいことの中で、どちらがより適しているのかを考えましょう。

目先のお金だけでなく将来性なども考えた上で、その店舗にふさわしい方を選びたいですね。

費用を抑えて居抜き、余裕が出たらスケルトン

お店を経営するというのは、実際にやってみないとわからないことがたくさんあります。

最初からうまくいかない場合の方が多いですし、その点を考えると最初は居抜き物件で少しでもコストを抑えた方がいいのかもしれません。

経験を積み、売上も上がってきてから、新たにスケルトンで自分の理想のお店を作るという方法にするのが一番現実的ではないでしょうか。

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