フリーアドレスオフィスの導入で快適な空間へ。メリットと効果とは?
近年では、オフィスを「フリーアドレス」にすることが増えてきています。
オフィスのフリーアドレスとは、オフィスに社員の固定席を作らず、自由な席で仕事を行うことができる仕組みのことをいいますが、実際にフリーアドレスを導入することで、どのような効果が得られるのでしょうか?
フリーアドレスを導入する企業が増えてきたとはいえ、どの組織にもフリーアドレス制が効率的になるとは限らないようです。
そこで今回は、オフィスにフリーアドレスを導入することのメリット・デメリットと、フリーアドレスを上手く取り入れるポイントなどについてご紹介します。
この記事を参考に、組織に合った働き方を、今一度見つめ直してみましょう。
オフィスをフリーアドレスにするメリット
通常のオフィスの仕事風景といえば、毎朝自分の席に着き、黙々と仕事をしている様子を思い浮かべるでしょう。
しかし、固定席を作らないフリーアドレスを導入している会社は、そんな通常のオフィスとは異なる風景が見られます。
固定席を作らないフリーアドレスを導入することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
1.オフィスの省スペース化
フリーアドレスを導入することの大きなメリットの一つとして、「省スペース化によるコストの削減」ということが挙げられます。
外回りがメインの営業職などであれば、日中はオフィスの人が少ない状態が常でしょう。そうなれば、人数分の席は必要ありません。
部署に関わらず自由な席に座れるので、電話回線や電源、LAN設備、レイアウト変更などを行うコストも抑えられるでしょう。
2.コミュニケーションの活性化
また、必要に応じてミーティングも行えるので、会議室を減らすこともできます。
これまでは、上司へ案件を説明するために紙の資料を作成していたのだとしても、近くに移動しパソコン画面を見せるという方法を取りやすくなるので、意思決定も迅速に行いやすいという効果も期待できるでしょう。
3.生産性の向上
「フリーアドレスを導入すること」と「生産性」は、一見関係ないように感じ取れますが、実は生産性の向上も期待できることがわかっているのです。
すると、集中力も今まで以上にアップし、生産性の向上に繋がるきっかけになるのです。
4.セキュリティの向上
フリーアドレスになることにより、紙資料の保管スペースを減らすことができ、ペーパーレス化が進みます。
自分の席をそれぞれ持っていると、安心して紙媒体の重要資料などを机に置いてしまうため、盗み見される危険性もありますし、社外への流出のリスクも高くなってしまいます。
5.整理整頓の徹底
毎日自身の決まった机で仕事をしていると、机の上に資料が山積み状態になってしまったりすることはないでしょうか?
そして、フリーアドレスのオフィスでは、なるべく紙媒体の資料を持たずに電子化することを心がけるため、ペーパーレス化を推進できます。
ペーパーレス化が推進されれば、印刷やコピーにかかるコストも削減することができるでしょう。
オフィスをフリーアドレスにするデメリット
オフィスにフリーアドレスを導入することで得られるメリットをご紹介してきましたが、反対にデメリットも存在します。
どのようなデメリットがあるのでしょうか?
適度な距離感が保てず集中しにくい
固定席を設けていないことにより、社員の中には「集中できない」という声を上げる人が出る可能性は十分にあります。
- 周囲の人が日によって違うことが落ち着かない
- オープンスペースになることで周囲の音などが気になってしまう
- 自分だけの決まった席で落ち着いて仕事がしたい
など、反対意見を持つ社員がゼロである可能性は低く、プロジェクトの内容や、その時の作業内容などによっては、オープンな空間や他人との距離が近いことがストレスになってしまうという場合があるでしょう。
ルールの浸透不足
すると、結局固定席の時と大して変わらない状態になり、コミュニケーションの活性化にならない場合があるのです。
帰属意識の低下
フリーアドレスを導入することにより、社員の帰属意識の低下に繋がってしまうというデメリットがあります。
人は、オフィスに自分の席があると、その部署や会社に所属していることを意識します。
しかし、フリーアドレスになり自由に働く場所が選べるようになると、自分の決まった席がないことから集団意識が希薄となり、組織への所属意識の低下へ繋がることが考えられるのです。
どこに誰がいるのかわからない
通常、社員それぞれの固定席があるので、座席表を見れば、誰がいて、誰が不在なのかがすぐにわかるものです。
しかし、フリーアドレスにすることにより、誰がどこにいるということがわかりにくくなります。さらに、不在である場合に、その人の机にメモなどで要件を残すことがありますが、そういったことも難しくなります。
フリーアドレスにすることで、誰がどこにいるのかがわかりにくくなり、社内を探し回るような場面も出てしまうでしょう。
オフィスをフリーアドレスにするデメリットへの対処方法
オフィスをフリーアドレスにすることにより生じるデメリットは、工夫をすれば対処していくことが可能になります。
では、どうしたら対処できるのか、さっそく見ていきましょう。
集中スペースを確保する
固定席がなく、周囲の人と適度な距離感が保てないオープンスペースであるがために、集中できないという社員が出てしまいます。
そこで、フリーアドレスオフィスの空間とは別に、一人で集中して作業ができるスペースを設けるのです。そうすれば、自身で働き方を選択できるようになります。
フリーアドレスにルールを作る
フリーアドレスを導入したにも関わらず、いつも同じ部署で固まって座っていたり、同じ席ばかりを好んで座るようになってしまっては、フリーアドレスの利点の意味がなくなってしまいます。
そのようなことを防ぐために、くじ引きやルーレットなどでその日の席を決めるなど、何かしらの工夫をしてみましょう。
必然的に毎日座る席を変える仕組みを作り、適切な運用をできるようにするのです。
モバイルロッカーにネームプレートを付ける
フリーアドレスの導入により自分の固定席がなくなると、集団意識が希薄となり、組織への所属意識の低下に繋がってしまいます。
個人のモバイルロッカーに自身の名前や顔写真を付けることで、「自分はこの企業に所属している」という、帰属意識の向上に繋げることができます。
オフィスにフリーアドレスを導入すべきか考える
オフィスにフリーアドレスを導入することが、必ず成功に導いてくれるのであれば良いのですが、残念ながら失敗に終わる企業も存在します。
フリーアドレスを検討するのであれば、果たして本当に導入すべきなのかをよく考えてみる必要があるのです。
どのような場合に失敗することが多いのか、まずは確認しておきましょう。
オフィス業務がメインで在籍率が高い
オフィスでの業務がメインで在籍率の高いオフィスは、フリーアドレスに向いていないと言えます。
在籍率の高い部署では、オフィススペースの削減効果も期待できないでしょう。
書類の取り扱いが多い
書類の取り扱いが多い企業はフリーアドレスの導入に向いていないと言えます。
固定席ではない以上、帰社する際には席には何も残さず、綺麗にしてから帰るということが必須になってきます。
フリーアドレスにするメリットとして、「ペーパーレス化することにより、コストの削減が期待できる」ということが挙げられますが、それも叶わないといえるでしょう。
フリーアドレスの導入に必要な設備を把握しておこう
フリーアドレスオフィスを導入を検討しようと思った時に、必要な設備を把握しておくことはとても重要です。
ここからは、フリーアドレスを導入するにあたり、どんな設備が必要なのかをご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
ノートパソコンとWi-Fi環境
ノートパソコンはフリーアドレスのオフィスには必須です。固定席がなく移動が多い環境で、デスクトップのパソコンを持ち歩くわけにはいかないでしょう。
個々人がノートパソコンを持ち、データを全てその中に入れることができるからこそ、フリーアドレスは実現できるのです。
営業職などで外出が多い場合、持ち運びに便利なモバイルタイプのノートパソコンがおすすめです。そしてLTEを搭載していれば、どこにいてもネットワークの接続がスムーズに行えます。
デスクと配線や設備
オフィスに欠かせないデスクですが、フリーアドレスオフィスでは、業務の内容によっても異なりますが、長机や円形テーブルを使用することが多いようです。
コミュニケーションの活性化を円滑にしたり、人数の増減にも対応しやすいというメリットがあります。
より快適な仕事ができるように、細かい設備にも目を向けると、社員一人一人にとっても居心地の良い環境になるでしょう。
ロッカーやファイリングシステム
大型の設備であれば、上記の他にもファイリングシステムが必要になります。
必要な資料などをそれぞれの収納場所に収められれば、オフィス内は自然と整頓できます。
ロッカーの内部にコンセントが付属しているものを起用すると、退社時にノートパソコンを充電しておくことができ、翌日もスムーズに業務が開始できるでしょう。
その他設備
オフィスにフリーアドレスを導入する際に気を付けたいのが、「情報漏えい」です。自由な場所で仕事ができる環境ですので、不審者の侵入には十分に警戒する必要があると言えます。
また、窓際をオープンしておいたり、ゆったり座れるソファーなどを配置しておくと、少しリラックスして話し合いができる環境を作ることができます。
【まとめ】企業に合った働き方を見つけよう
メリットの多いフリーアドレスオフィスにも、デメリットや不向きな企業などがあることがわかりました。
デメリットに関しては、工夫をすることで改善できることも多いので、是非実践してみてください。
経理部門・管理部門・落ち着いた場所で作業すべき業務・重要書類を取り扱う部署などは、フリーアドレスは向いていませんので導入すべきではありませんが、部署や業務によって「部分的に導入する」という方法をとることもできます。
逆に、外回りの多い営業職や企画部門などには、フリーアドレスが最適だと言えるので、積極的に導入を検討して良いでしょう。
しかし、フリーアドレスの導入を実現させるかどうかは、会社や部署にとってとても大きな改革になりますから、実際の業務をシミュレーションした上で、社員にもアンケートを行うなどをして、適切かどうかを慎重に決める必要があります。
フリーアドレスを導入するには、明確な目的意識と、コストや労力が確実に必要になりますので、オフィスの移転や社内改装などを考えるタイミングで検討してみてはいかがでしょうか?