オフィス移転や社内のイメージチェンジを考えている企業と、デザイン会社をマッチングさせるサイト。

オフィスの働き方(ワークスタイル)

テレワークを導入するメリットとデメリット。通勤しない働き方

働き方改革の一つとして、テレワーク=オフィスに通勤しない働き方を導入する企業が増えています。

確かに、通勤しないで自宅などで仕事ができたら、子供の突然の病気にも対応できますし、長い通勤時間がなくなるなどメリットが多いように思います。

しかしこれまでの日本型の企業では導入するのも難しく、なかなか定着しづらいというのが実情ではないでしょうか。

通勤しない働き方というのは本当にメリットがあるのか、デメリットを克服するにはどうすればいいのか、実際に導入している会社の声などを見ながら考えていきましょう。

テレワークとはICTを活用した働き方のこと

最近よく聞くようになったテレワークという働き方。ICT(情報通信技術)を利用して、時間や場所にとらわれずに仕事をする働き方のことです。

  • tele:遠方の、遠距離の
  • work:働く

という意味の言葉を組み合わせて作られた言葉です。在宅勤務もテレワークの一つです。

政府は2020年までに、

  • テレワーク導入企業を3倍にする(2012年比)
  • 週1日以上終日在宅で就業するテレワーカーの数を全労働者の10%以上とする

という目標を掲げています。

どのような仕事がテレワークに向いているか

テレワークはパソコンやスマホがあればできる仕事が向いています。

  • 資料や報告書の作成
  • 企画書、見積書の作成
  • データ入力
  • プログラミング
  • 上司、同僚とのミーティング
  • 顧客との打ち合わせ

このようなことであれば、会社にいなくてもどこにいてもできる仕事です。

テレワーク、様々な形

パソコンやインターネットだけでなく、電話などの通信技術を使って仕事をするのがテレワークです。

パソコンを使って、というと自宅で仕事をするというイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。

  • 移動しながら顧客とやりとりする
  • コワーキングスペースで仕事をする
  • サテライトオフィスで仕事をする

など、様々な形があります。

雇用型と自営型

勤務形態も様々で、企業に雇用されている人が、会社以外の場所で仕事をするというパターンもあれば、自営業(個人事業主)の人が企業と契約を結んで仕事をするというパターンもあります。

正社員を雇用するという以外にも、必要とするスキルを持った専門家とコラボして仕事をするという方法もあり、企業としてはより優秀な人材を確保できる可能性が高まります。

頻度の違い

企業によってテレワークの頻度の違いもあります。

常に、好きな時にテレワークができる会社もあれば、週に1度とか、月に○回など回数が決められている会社もあります。

まだまだ導入は進んでいない

総務省の調べによりますと、日本のテレワーク導入企業はまだ少数です。

アメリカではすでに8割を超える企業が導入しており、イギリスでもおよそ4割に上っています。しかし日本ではまだ1割程度の企業にとどまっています。

とある転職サービスの調査によると、テレワークを経験したことのある人は、回答者中わずか4%だったとのことです。

日本ではまだまだメジャーな働き方だとは言えそうにありません。

欧米では資料のデータ化が進んでおり、自宅でもどこでも仕事ができるなら構わないという意識が浸透していますが、日本では「会社にいること」が仕事の一つです。

また、欧米と違って個人の仕事の範囲が明確になっていない場合が多く、部署全体でフォローし合う体制になっているのがテレワーク導入を難しくしている理由の一つでしょう。

会社以外で仕事ができる!働く側から見たテレワークのメリット

仕事をするのに出社しなくていいとなると、メリットがたくさんありそうです。

通勤しなくて良い

出社しなくていい=通勤しなくていいというのは、時間的にも精神的にも大きなメリットになるでしょう。

自宅が遠い人は往復の通勤時間が削減できますし、満員電車に乗る苦痛からも解放されます。

仮に通勤で3時間かかっていたとすれば、その時間を仕事に当てることで、1日の暮らし方がかなり変わってきますよね。

朝ゆっくり起きることもできるし、仕事を早く終わらせれば家族と夕食を楽しむことも可能です。

自宅で仕事ができる

小さな子供がいる人や家族の介護をしている人にとっては、自宅でも仕事ができるというのはとても助かりますね。

特に子供はいつ体調が悪くなるかわかりません。朝突然具合が悪くなれば、その日にやろうと思っていたことが一切できなくなってしまいますが、家でも仕事ができるなら、子供の面倒を見ながらでも仕事を進めることができるわけです。

介護をしなくてはいけない場合も同様です。仕事を諦めないといけないと思っていた人でも、自宅で介護をしながら仕事を続けていけるのはありがたいことです。

どこに住んでも仕事ができる

テレワークができれば、住む場所も選びません。

通勤できる範囲でなくても仕事ができるので、例えば実家に戻って年老いた両親のそばにいながら仕事をするということも可能です。

既婚者の場合、配偶者の転勤によって退職を余儀なくされてしまうこともあると思いますが、テレワークが可能なら辞めなくても済むでしょう。

日本はもちろん、海外にいても仕事ができます。

好きなところで仕事ができる

オフィスの環境があまり良くないと、集中できない、仕事の効率が悪いと感じている人もいると思います。

しかしテレワークができれば、近くのカフェでも自宅でも、好きなところで仕事ができます。自分が一番集中できる、効率が良くなると感じる場所を選べるのです。

パソコンや電話さえあればどこでも仕事ができるので、その日の気分に合わせて仕事をする場所を変えることも可能です。

家庭と両立しやすい

会社に通勤しなければならないとなると、朝は早く出なくてはいけないですいし、帰ってからもゆっくりする時間があまりないのではないでしょうか。

特に子供の保育園の送り迎えなどがあると本当に大変だと思います。

自分の通勤時間に送り迎えの時間もプラスされますし、夜の7時、8時に家に帰ってから育児や家事をするのは体力的にも大変です。

しかしテレワークなら、子供を迎えに行く前に家事を済ませておくこともできますし、家事や育児が格段に楽になるでしょう。

生産性が上がる

家事や育児との両立がしやすくなってくると、プライベートの充実感が高まり、それに伴って仕事の生産性も上がるようです。

2006年に在宅勤務制度を導入した日産では、利用して良かったと感じている人が多く、自宅のリラックスした環境で仕事ができること、休憩や食事も家でできることから、仕事の生産性が上がったという声が多いとのこと。

時間を自分で管理して自分のペースで仕事ができるからこそ、生産性も上がるのでしょう。

障害者の就業機会が増える

障害のある方は通勤自体が大変で、なかなか就業できないことが多いものですが、自宅で仕事ができるなら障害は全く関係なくなります。

通勤しなくても他の人と同じように仕事ができるようになります。

企業側から見たテレワークのメリット

企業側から見てもテレワークを導入することはメリットがたくさんありそうです。

コスト削減

通勤が必要なくなれば、交通費の支給も必要なくなりますので、その分コストが削減できます。

また、全員が常に出社している状態でないため、オフィスのスペースも削減できます。

定期的に出社することがあったとしても、必要最低限のデスクを揃えておけばいいので、省スペース化が可能でしょう。

テレワークを実施するということは極力紙の資料を減らし、電子化してくことが必要です。今まであった紙の資料の保管スペースもどんどん必要なくなっていくでしょう。

離職を防ぐことができる

出産や介護によって離職を余儀なくされる人がいまだに多いのが問題となっていますが、テレワークを導入すれば優秀な人材の離職を防ぐことができます。

また、配偶者の転勤によって辞めざるを得なかった女性たちがテレワークで仕事ができれば、仕事を続けていくことができるのです。

介護離職も問題になっていますね。介護をする立場の人は会社の中でもそれなりに責任を負っている年齢の人が多いものです。

チームリーダーになるべき人が辞めてしまうのは、会社も周りの人も困るでしょう。

優秀な人が辞めるのは企業にとっても大きな損失ですし、また新たな人を雇用するとなると、採用のためのコストもかかりますし、一人前に仕事ができるようになるまで時間もかかります。

今いる人材を活用するためにも、テレワーク導入は今度ますます必要となるでしょう。

優秀な人材を確保できる

これから新しい人を採用するにあたり、「テレワークも可能」とアピールすることは、通勤圏内に住んでいる人以外の人も採用できるということ。

優秀な人材を確保する範囲が全国に広がるわけです。これは企業にとって大きなメリットになるでしょう。

地方に住んでいても、都心の会社で在宅勤務ができるとなれば、優秀な人材を集めやすくなります。

リスクを分散できる

一箇所に仕事が集中しているリスクが注目されたのは、2011年の東日本大震災です。

オフィスが機能しない、社員が出社できないなどの理由で会社によっては業務が完全にストップしてしまったところもあるでしょう。

テレワークを導入してどこでも仕事ができる状態にしておけば、仮に交通機関が麻痺して社員が出社できない状況であっても業務がストップすることはありません。

危ないときに無理に出社させないことは社員の命を守ることにもつながるので、万が一の時のためにテレワーク導入を検討しても良いのではないでしょうか。

企業のイメージ向上につながる

出社しなくても仕事ができるというのは、働き方改革の一環となり、そのような環境づくりを積極的に行っている企業としてのイメージアップにもつながるでしょう。

テレワークを導入し、生産性もアップしているという実績が作れればなおいいですね。

働く側から見たテレワークのデメリット

会社以外の場所で仕事ができるというのは、メリットばかりではないようです。

特に自分を管理できない人にとっては、デメリットの方が大きくなってしまう可能性もあります。

時間の管理が難しい

会社にいれば人目がありますから、仕事中にサボることはできませんね。しかし自宅にいれば、誰も見ていません。

サボろうと思えばサボれてしまうし、朝でも夜中でもいつでも仕事をすることは可能です。

時間管理がうまくできないと思うように仕事が進まなくなったり、逆に残業が増えてしまうということにもなりかねません。

自分のことをしっかり管理できる人でないと、逆に仕事がしづらいでしょう。

長時間労働になりがち

自宅で仕事をしていると、仕事をしている様子を誰かが見ているわけではないので、仕事の成果を出すことがこれまで以上に求められるようになります。

きちんとやっています、ということをアピールしようとして今まで以上に頑張りすぎてしまい、それが長時間労働につながってしまう可能性もあります。

仕事に集中できない

家にいると生活感がありますよね。極端な話ですが、パジャマから着替えなくても仕事ができてしまうこともあるので、気持ちを仕事モードに切り替えるのが難しい場合があります。

自分の部屋や書斎があればいいですが、それは難しいですよね。

子供に声をかけられたり、途中で家事をしなくてはいけなかったりすると、なかなか仕事に集中できないというデメリットもあるのです。

仕事とプライベートがごっちゃになってしまう

会社に行く時は仕事着に着替え、家を出て電車やバスに乗るという行動によってオンとオフが切り替えられると思います。

しかし出社がないとオンとオフの切り替えが難しくなってしまうことも。

家が仕事場になってしまうと、ずっと仕事をしているような気分になってしまい、家にいてもリラックスできないという人もいます。

正当な評価が得られない

どうやって仕事をしているか、その仕事の難易度などがわかりづらいため、結果だけを見て「この仕事ならこのくらいの時間でできるはず」などと思われてしまうと、正当な評価が得られないという不満もあるようです。

テレワークで仕事をする前に、どのようにして仕事を評価してもらうかというすり合わせが必要になりそうですね。

健康管理が大変

通勤をせずに家やカフェでずっとパソコンに向かっているとどうしても運動不足になります。

  • 意識をして休憩を取る
  • 体を動かす

というように、自分なりに工夫をして健康管理をしてく必要があります。

企業側から見たテレワークのデメリット

テレワークを導入するにあたっては、どのようなデメリットがあるかを把握しておくのはとても大切です。

デメリットを克服しないままに導入してしまうと社員が混乱してしまいます。

コミュニケーションが難しい

ずっと顔を突き合わせて仕事をしているわけではないので、コミュニケーションも工夫していかないといけません。

  • パソコン上での会議
  • メールやチャット
  • 定期的な出社

などによって話すことはできるものの、ずっと同じ空間にいて仕事をするのとはちょっと違いますね。

日常的にどのようにしてそばにいない社員と話をするか、という方法を確立しておかないとコミュニケーション不足になる可能性があります。

業務管理が難しい

どのように仕事をしているのかが見えないので、労働実態をどうやって把握するのかというのは大きな問題です。

完全に成果物で評価できるような仕事であればいいですが、そうでないものの方が多いでしょう。

  • パソコンの作業履歴を管理する
  • ウェブカメラで労働実態を管理する

など、何かしらこれまでとは違った管理方法を考えなくてはいけません。

導入コストがかかる場合も

ICTの環境がある程度整っている会社であればいいのですが、社内システムへのアクセス環境が整っていないとその導入コストが高くつく、というデメリットもあります。

また、紙媒体をデータ化していくという手間もありますので、環境が整っていないテレワーク導入には企業ほど時間もお金もかかってしまうでしょう。

セキュリティ対策が必要

自宅でもカフェでも社内システムにアクセスできるとなると、セキュリティが心配です。

うっかり企業の情報が漏れてしまっては大変ですし、フリーwi-fiなどでウィルス感染の心配もあります。

どのようにしてセキュリティ対策をするのかを考えて、仕事のルールを明確にしてからでないと導入はできないでしょう。

管理職は出社しないといけない状況が多い

管理職の場合は、家でできる仕事ばかりではないことが多いかもしれません。

出社しなければできない仕事もあり、それがテレワークを実施できないという足かせになっているようです。

職種によっては会社でないと仕事ができない

パソコンやインターネットを使った仕事ならどこにいてもできますが、会社の機密情報に触れるような仕事だと会社以外の場所で仕事をするのは難しいでしょう。

テレワークを導入してどうだったか?利用者の本音

テレワークを導入して働きやすくなったという声がある一方で、導入したものの利用者が増えないという現状も。

実際に利用している人の本音はどうなのでしょうか。

利用してよかった

テレワークがあってよかったという人の意見としては、以下のようなものがあります。

  • 仕事と家庭が両立しやすくなった
  • 仕事が効率的にできるようになった

やはり、ワークライフバランスが良くなるというのが最大のメリットかもしれません。

あまりメリットを感じない

その一方で、テレワークが便利ではないと感じている人もいるようです。

  • サボっていると思われるのが不安
  • 上司の目が気になって利用しづらい
  • 楽をしていると思われそうで肩身がせまい
  • 子育て中など条件があるのは不公平
  • 在宅で仕事をしている人の代わりにやることが増えた

利用する回数や部署に制限があると不公平感が生まれてしまうという声もありました。誰でも、いつでも利用できるようにするというのが利用者を増やすきっかけかもしれません。

テレワークのデメリットを克服して導入するには

テレワークにはメリット、デメリットそれぞれありますが、克服するためには次のようなことを考えてみてください。

管理職から導入していく

管理職は導入が難しいと決めつけてしまわずに、どうすれば管理職でもテレワークができるかを考えてみます。上司ができないものを、部下が積極的に取り入れるのは難しいからです。

実際、消費者庁では全管理職が週に1日の在宅勤務をするという取り組みを始めているそうです。

実際にやってみないとわからない問題もあるので、まずは管理職が率先して実践することでやるべきことが見えてきます。

上司が部下を信頼すること

上司は、自分がいて部下を「見張っていないと」サボるのではないか、と思っている人もいると思います。

しかしテレワークを導入するには、見ていないところでもしっかり仕事をしているであろうという信頼関係がなければいけません。

「午後は自宅で仕事をします」と部下に言われた場合、サボりたいだけなんじゃないのか?などと疑っていてはテレワークは成り立ちません。

自分が睨みを利かせていないと部下が仕事をしないと思っていたらテレワークはできないので、まずは上司が部下を信頼するということが何より大切です。

仕事の成果を見える化して評価する仕組みづくり

仕事をどのようにして評価するかというのが大きな問題になりそうです。

  • 何をもってして成果とするのか
  • 取り組みの過程をどう評価するのか

社員が納得できるような評価システムができていないと生産性が上がりません。

これまでの評価システムを抜本的に見直して、正しい評価ができる制度を作る必要があります。

すでにテレワークを導入している企業を参考にしつつ、自社にあったシステムの構築は不可欠です。

長時間労働を防ぐルールづくり

うっかりすると長時間労働を助長しかねないのがテレワークなので、それを防ぐルールづくりが必要です。

実際に労働した時間を申告できないように圧力をかけたり、仕事が終わっていなければ休日でも仕事をするように言われたりしていないか、労働者の不利益になるようなことが行われないようなルールを明確にしておきましょう。

サテライトオフィス、コワーキングスペースの導入

勤務管理が難しい場合、自宅ではなくて、自宅近くのサテライトオフィスやコワーキングスペースを利用するという方法もあります。

自宅の近くで仕事ができるなら、社員としても会社に通勤するよりは楽ですし、会社としても勤怠管理が楽になるので双方にとってメリットがあります。

セキュリティに関するルール作り

情報漏洩などが起こらないように、セキュリティに関するルール作りも必須です。

  • テレワークをする場合は会社の機密情報にはアクセスできない
  • フリーwi-fiには繋がない
  • カフェなどで仕事をするときにはパソコンをストラップなどで固定して盗難を防止する
  • 覗き見防止フィルターをつける
  • 自宅でもパソコンから離れるときには画面をロックする

など、企業情報を守るためのルールを作りましょう。

テレワークの導入で多様な働き方を後押し!

いつまでも「会社」という場所にこだわっている時代ではなくなってきました。

日本では出社することが偉いことという風潮がいまだに根付い良いですが、仕事の成果が出せるのならどこで仕事をしてもいいはずです。

欧米ではすでに導入が進んでいますから、デメリットばかりに囚われているとビジネスチャンスも逃すことになるかもしれません。

これを機に、どうすればテレワークが導入できるか社内で考えてみてはいかがでしょうか。

関連記事

pagetop